
有線から無線へ。不調の原因が見えにくい無線LANを、快適に運用し続けるための環境整備
この記事のポイント
- 社内ネットワークが無線中心になった今、インフラ運用も無線を前提に組み立て直す必要がある
- 無線の不調は原因が特定しにくく、その運用には有線より多くの工数がかかる
- どの端末が無線アクセスポイントにつながっているかを可視化することが、運用負荷を抑える鍵になる
端末はノートPCやスマートフォンへ、システムはクラウドのWebアプリへ。働く場所も、オフィスの内外を問わなくなりました。ここ数年で、企業のネットワークを取り巻く前提は大きく変わっています。
ところが、働き方が変わっているにもかかわらず、端末やシステムの変化に対応する環境を整備できていない企業が多いのが実情。ネットワークはいまや業務を支える欠かせない存在です。無線をしっかり運用していくために、何をどう整えるべきかを考える必要があるでしょう。
本記事では、なぜ今見直しが必要なのかを整理したうえで、企業が抱えやすい課題、確認すべきポイント、そしてctcがおすすめする「最適なLAN環境」を解説します。
なぜ今、社内ネットワークの見直しが必要なのか

見直しが求められる背景にあるのは、働き方改革と業務システムのSaaS化やクラウド活用の拡大。いま求められているのは、自社が目指す業務のあり方を支える環境であり、それには場所や端末を選ばずにつながる無線LANが欠かせません。
無線LANの整備というと、つい「無線アクセスポイントを増やす」「機器を新しくする」といった、ハード面の話から考えてしまいがち。しかし本当に重要なのは無線LANを運用できる環境の整備です。
では、その無線LANを運営していくために何が重要になるのか。鍵を握るのは、どの端末から無線アクセスポイントに接続しているのか、その状況を把握できること。つまり、運用のしやすさを支える可視化です。次章では、無線LANの可視化について掘り下げます。セキュリティと、それを担う人の課題については、その後で詳しく見ていきましょう。
社内ネットワークの運用課題|「可視化」できていないと何が起こるか

ネットワークの見直しが進まないまま運用を続けると、現場ではさまざまな不便が繰り返し起こります。
それらは別々の問題に見えて、多くは一つの共通点にたどり着きます。無線環境を主とする社内ネットワークでは、端末と無線アクセスポイントの間でどのような通信が行われているかが見えないのです。
どの端末が、どの無線アクセスポイントに、どれだけつながっているのか。ネットワークの可視化ができていなければ、利用者からの申告に迅速に対応できません。
まずは、この「見えない」という課題から見ていきます。
課題① 状態把握|ネットワークの全体像が「見えない」
大切なのは、全体をきちんと把握できていることです。利用者から申告があってから対応すること自体が悪いわけではありません。状況を把握できていれば、申告を受けてから適切に対応できます。見える化できていないと、それができないのです。
とりわけ無線環境は厄介です。無線環境の不調は、電波干渉や無線アクセスポイントの性能不足や設置場所、設計上の課題、回線の帯域不足など、さまざまな要因が複雑に絡み合って発生するため、原因の特定が難しくなりがち。
無線の不調は、止まるというより「調子が悪い」という形で現れます。つながりにくい、遅いといった状態は利用者の不満につながり、そのストレスが業務の負荷になっていく。日々の業務に支障を与えるため、無線をきちんと整備しておくことが大切です。
課題② 拡張性|将来を見据えた設計ができていない
現状が見えず、設計の判断材料もそろわない。この状態では、将来を見据えた設計まで手が回りません。事業の拡大や拠点の追加、新しい働き方に合わせてネットワークを広げようとしても、無線環境の拡張やセキュリティへの配慮が後手に回りやすくなります。
これらの課題を防ぐには、見直しに取りかかる前の準備が欠かせません。次章では、確認しておきたいポイントを見ていきましょう。
LAN構築で失敗しないために確認すべきポイント

見直しの結果を左右するのは、着手する前の準備です。自社の現状と、これから目指す姿を整理できていれば、構築するネットワークの見直し方向がぶれにくくなります。
逆に、そこが曖昧なまま進めると、いざ構築してから「思っていたものと違う」というずれが生じやすい。ここでは、見直しの前に自社で確認しておきたいポイントを、4つの視点で整理します。まず出発点になるのが、将来の業務像です。
見直しの前に確認したい4つのポイント
- 将来ビジョン:業務をどう変えたいか。目指す働き方、使う端末・アプリ・場所、端末台数
- 現状把握:今の機器とネットワーク構成
- 運用設計:どこまで可視化するか、利用者の問い合わせにいかに迅速に対応できるか
- セキュリティ対応:接続する端末と利用者を確実に識別できるか
将来ビジョン|業務をどう変えたいかを描く
最初に整理したいのは、自社が今後、業務をどのように変えていきたいかという将来像。ここがすべての起点になります。
具体的には、どんな働き方を目指すのか。そのためにどんな端末を、どんなアプリケーションで、どこで使うのか。そして、その結果として端末は何台になるのか。
この将来像がはっきりするほど、必要なネットワークの形も見えてきます。冒頭で触れた端末・システム・場所の変化を、自社に当てはめて考えるとよいでしょう。
ここを描かずに機器だけ決めると、将来の変化に対応できず、早期の見直しを迫られることになります。
現状把握|今の機器と構成を棚卸しする
将来像を描いたら、次は「今どんな機器を使いネットワークがどう構成されているか」の現状を正しく把握します。これは課題①で触れた、「全体を把握できていない状態」を解消する作業でもあります。現状が分からなければ、どこをどう変えるべきかも判断できません。
構成が整理できていれば、後述するSCS評価制度のような外部の基準にも説明しやすくなります。
運用設計|どこまで可視化し、どう運用するかを決める
運用の考え方で軸になるのは、運用目線でどこまで可視化していくかという視点。すべてを細かく見える化すればよいわけではありません。自社の運用に必要な情報は何か、どの粒度で把握できれば判断できるのかを決めることが出発点になります。
次に確認したいのが、担当者が変わっても同レベルで運用できるかどうか。特定の人の経験に頼った運用では、異動や退職のたびに品質が揺らぎます。可視化された情報をもとに、誰が見ても同じ判断ができる状態をつくれているか。見える化できていれば、おのずと属人化しません。個人の判断に頼る場面がなくなります。
そして、利用者の問い合わせに対して、いかに迅速な対応ができるか。異常の検知から原因の切り分け、復旧までの時間をどこまで短縮できるかが問われます。
セキュリティ対応|見えない通信だからこそ、セキュリティは重要
無線LANは物理的な接続を伴わないため、有線と異なり、接続端末と利用者の特定が運用上の課題となります。事前共有キーによる認証だけでは、鍵の使い回しや退職者の端末が接続し続けるリスクを排除できません。端末台数が増えるほど、この管理は現実的でなくなります。
そこで採用が進んでいるのが、端末ごとに電子証明書を配布する認証方式、パスワードに加えて別の認証要素を組み合わせる多要素認証です。いずれも接続を許可する端末と利用者を個別に識別でき、退職や機器の入れ替えに応じた失効処理も可能になります。
こうした対策は、企業の自主的な判断に委ねられるだけでなく、外部の基準としても求められ始めています。その一つが、2026年度内に運用開始が予定されるSCS評価制度(セキュリティ対策評価制度)。サプライチェーン全体のセキュリティ水準を共通の基準で可視化し、底上げすることを目的に策定された制度です。
制度では、自社のネットワークがどう構成され、どう管理されているかを説明できることが問われます。ネットワーク構成の把握そのものが、対応の前提になるといえるでしょう。
これらの視点で自社を見つめ直すと、単独では解決しきれない部分も見えてくるはずです。
ネットワーク設計の専門知識・スキルを持つ人材が不足している
無線LANの設計には、電波の干渉を避けるチャネル設計、無線アクセスポイントの配置とローミングの調整、認証基盤の構築といった、有線とは異なる専門性が求められます。しかし、こうした知見を持つ人材を社内に確保できている企業は多くありません。
必要とされるのは、設計の知識だけではありません。無線LANの運用には、従来の有線LANより多くの工数がかかります。有線ならケーブルをたどれば原因にたどり着けますが、無線は目に見えません。「調子が悪い」という申告があっても、端末の問題か、電波の問題か、回線の問題かを、ひとつずつ確かめていく必要があります。
情報システム部門があっても、日々の問い合わせ対応や機器の運用に追われ、ネットワーク全体の設計を見直すような、腰を据えて取り組むべきテーマには手が回らないのが実情です。
限られた人員で、増え続ける通信を支え、高まるセキュリティ要件に応え、さらに将来を見据えた設計まで担う。この負担の重さが、見直しを先送りさせる一因になっています。
お客さまに最適なLAN環境をctcがご提案

ここまで見てきた4つの視点を、限られた人員だけで整理し、形にしていくのは簡単ではありません。ctcは、お客さまの現状と目指す姿をうかがったうえで、業務に合ったLAN環境をご提案します。機器の選定から構築、その後の運用・保守までを一貫して支えます。
まずは、日々の業務を支える無線システムの選定から見ていきましょう。
無線LAN環境|業務に合った無線システムを選定
無線LAN環境の要となるのが、無線システムの選定です。利用する場所や端末の台数、目指す運用体制に合わせて、適した機器は変わります。
ctcは特定のメーカーに縛られず、業務に合った機器を選定・提案します。Cisco Meraki、HPE Aruba Networking、Allied Telesis、YAMAHA、RUCKUS Networksなど、幅広いメーカーの無線システムに対応。回線事業者として培ってきた知見をもとに、機器の選定から設置、その後の運用までを一貫して支えます。
※無線システム機器の取り扱いメーカーは、時期や調達状況により変動する場合がございます。
機器選定は、その後の運用を見据えて
無線システムの選定は、運用と切り離せません。どこまで可視化できる機器を選ぶかで、その後の運用のしやすさが決まるためです。ctcは、構築後の運用まで見据えたうえで機器を提案します。だからこそ、設計・構築から運用・保守までを一貫して担えます。
ビジョン設計から構築・運用まで。ctcのネットワークソリューション

お客さまのネットワークを、設計から構築、運用までワンストップで支援。ネットワーク機器の提供やセキュリティ対策、回線・機器の保守をまとめて担い、運用負荷の軽減につなげます。
社内ネットワークの運用・保守は、ctcが継続して支えます

ネットワークは、構築して終わりではありません。運用が始まってからのほうが、はるかに長く続きます。設定変更、障害対応、利用者からの問い合わせ。こうしたネットワークの運用業務を、ctcが継続して担います。
運用支援(BPO)は、対応の方法によって2つに分かれます。
ITヘルプデスク
遠隔で対応するのが「ITヘルプデスク」です。専門のオペレーターが問い合わせを受け、その記録・管理・報告までを一括で代行します。
オンサイトSEサービス
機器を直接確認しなければ解決できないトラブルには、エンジニアが現地へ訪問する「オンサイトSEサービス」で対応します。課題①で触れた、原因の特定が難しい無線環境の不調にも対応できます。
いずれも、回線やクラウド、サーバーなどctcが保守を担う対象と連携して対応するため、原因の特定から復旧までを一貫して任せられます。
情報システム部門の負担を軽減する、ctcのBPO「ITヘルプデスク」

従業員からの問い合わせ対応や記録・管理・報告までを一括で代行するBPOサービス。回線やクラウド、サーバーなどctcの保守対象と連携し、一体的にサポートします。
無線LAN環境の整備は運用まで見据えて

ここまで、なぜ今社内ネットワークの見直しが必要なのか、運用で企業が抱えやすい課題、そして見直しの前に確認すべきポイントを見てきました。
改めて確認したいのは、ネットワーク環境が、もはや単なるインフラではなく、業務の変革になくてはならないものになっているということ。
端末も、システムも、働く場所も変わり続けるなかで、それを支えるネットワークだけを据え置いたままにはできません。目に見えない無線環境を安定して使い続けるには、可視化が重要になります。
見直しの出発点は機器の選定ではなく、有線中心だった運用の考え方を無線中心に組み替えること。その考えに沿ってネットワークを設計し、構築し、安定して運用し続けることが大切です。
ctcは、ビジョン設計からインフラの構築、安定した運用まで、一括してサポートします。ネットワークの見直しを考えるなら、まずは現状の課題を一緒に整理するところから始めてみてはいかがでしょうか。