
ICT教育の課題を解決!1人1台端末時代のGIGAスクール構想に対応した校内ネットワーク環境改善ガイド
この記事のポイント
- 学校のネットワーク環境改善には専門的な診断・分析が不可欠
- 文科省ガイドブックに基づく体系的な改善アプローチが効果的
- ctcのネットワークアセスメントで課題を可視化し、最適なソリューションを提案
GIGAスクール構想の進展により、学校のネットワーク環境の重要性が高まっています。日々の授業でデジタル教材を活用し、児童生徒がタブレット端末を使用する環境において、安定した通信環境は教育活動に不可欠です。
多くの学校現場では、現在3つの重要な課題に直面しています。まず、学校内外にはさまざまなネットワーク上の不具合が存在するものの、その原因特定が不十分な状況。次に、学校の実態に見合った通信契約となっていない事例が数多く存在していること。そして、自治体において専門性のある職員の確保が難しく、改善に向けた交渉力が不足しているという現実です。
これらの課題に対し、文部科学省は具体的な対応策を示しています。ネットワークアセスメント実施に向けた財政支援を実施するとともに、安価な調達事例の横展開や広域調達・共同調達を支援。また、令和6年4月に「学校のネットワーク改善ガイドブック」を公開し、自治体担当者の専門性向上を支援しています。
今回の記事では文部科学省のガイドラインに沿って、ネットワークアセスメントの実施から具体的な改善策の立案まで、実践的な手順を解説します。ctcのネットワークアセスメントサービスでは、現状のネットワーク環境を正確に把握し、学校規模に応じた最適なソリューションを提案。さらに、将来を見据えたセキュリティ対策まで含めた包括的な環境整備を実現します。
ネットワーク環境の改善は、現状把握から始まります。ctcのネットワークアセスメントで環境診断とボトルネックの特定を行い、専門スタッフが実情に合わせた具体的な改善プランをご提案いたします。
ネットワークアセスメントで実現する!校内ネットワークの改善ステップ

GIGAスクール構想の推進により、1人1台端末環境の整備は着実に進展を見せています。一方で、これらの端末を支える通信ネットワーク環境の整備については、多くの学校が課題を抱えているのが現状。
とくに急務となっているのが、学校内外の不具合の原因特定と通信契約の適切な見直しです。さらに、デジタル教科書やデジタル教材の利活用が本格化することで、これまで以上に大容量の通信需要が見込まれることから、環境整備の重要性は一層高まっていると言えるでしょう。
このような状況を踏まえ、文部科学省は令和6年4月に「学校のネットワーク改善ガイドブック」を公開。同ガイドブックでは、専門家による通信ネットワークの評価(アセスメント)の重要性が示されています。
本項では、まずネットワークアセスメントの基本的な考え方について解説し、その上でガイドブックが示す具体的な改善の進め方をご説明します。
ネットワークアセスメントとは
ネットワークアセスメントとは、学校のネットワーク環境における課題を把握し、不具合の原因を特定するための総合的な評価作業です。評価の第一段階では、「簡易帯域測定」と「ユーザー体感調査」によって大まかな状況把握を実施。顕在化した課題が軽度なものであれば、既存の保守契約の範囲内での解決も可能となります。
学校のネットワークがつながりにくい原因は、大きく2つに分類できます。1つ目は「学校内のネットワーク」に起因する問題。「無線アクセスポイント(AP)」「集約スイッチ(SW)」「ファイアウォール(FW)」「ルーター」などのネットワーク機器や、それらをつなぐケーブルの不具合により、接続障害や通信速度の低下が発生するケースが該当します。
2つ目は「学校外のネットワーク」に起因する問題です。インターネットや拠点間を接続する回線の状況に起因する問題で、通信事業者のサービス品質や「セッション数」の制限などが、その代表例と言えるでしょう。
ネットワークアセスメントでは、これらの構成要素を総合的に評価することで、以下の成果を実現します。
- 現状のネットワーク環境における具体的な課題の把握
- 問題が発生している箇所の正確な特定
- 課題に対する具体的な解決策の提示です。
このように、ネットワークアセスメントは学校のネットワーク環境改善に向けた確実な第一歩となります。次項では、具体的なアセスメントの実施方法と、その際の重要なポイントについて解説していきましょう。
こんなお悩みはありませんか?
学校現場では、日々のICT活用において、さまざまなネットワークの課題が発生しています。以下のようなお悩みに心当たりはないでしょうか。
- 授業中に「Wi-Fi」の接続が途切れ、学習が中断してしまう
- 朝の会で全校が一斉に接続すると、通信が著しく遅くなる
- オンライン教材の動画がスムーズに再生されない
- 特定の教室や場所で端末がつながりにくい
- ネットワークの専門家が不在で、不具合の原因がつかめない
- 機器の更新を検討しているが、現状の問題点が把握できていない
これらの課題に対しては、ネットワークアセスメントの実施が有効な解決策となります。とくに、当面の推奨帯域を満たしていない場合や、ユーザー体感調査で一定頻度の不具合発生が確認されているケース。また、教育委員会等が既存の保守や運用の範囲内では対応が困難と判断している場合や、将来的な利用拡大に向けた環境整備が必要となっている状況でも、アセスメントの実施が推奨されるでしょう。
効率的な実施のポイントについては、次項で詳しく解説していきます。
快適なICT教育環境の実現へ!文科省ガイドブックが示す3つのポイント

ネットワークアセスメントの実施にあたり、文部科学省のガイドブックでは具体的な改善の進め方が示されています。とくに重要なのが、以下の3つのステップによる段階的なアプローチです。
Step1:「簡易帯域測定」による定量的な状況把握
Step2:「ユーザー体感調査」による実際の利用課題の特定
Step3:専門家による詳細な技術診断と改善案の策定
本項では、これらのステップについて、実践的な進め方を解説していきます。
簡易帯域測定とユーザー体感調査の進め方
- 依頼と実施
教育委員会等から、簡易帯域測定とユーザー体感調査を学校に依頼します。 - 課題の判定
教育委員会等において、測定結果と調査結果から「ネットワーク課題把握のフローチャート」に沿って課題の有無を判定します。 - 追加確認
簡易帯域測定の結果が当面の推奨帯域を満たしていない場合は、追加で校内ネットワーク(NW)の入口の帯域が当面の推奨帯域を満たしているかを確認します。
ポイント①:簡易帯域測定による現状把握から始める
簡易帯域測定は、以下の基本的な手順で実施します。まず、児童生徒が使用する無線APに端末を接続し、帯域測定サイトにアクセスして測定を実施。測定結果が推奨帯域よりも高い値であれば、基準を満たしていると判断できます。
ただし、測定にあたっては、いくつかの重要な点に留意が必要です。
- 測定日や時間帯を変えて複数回の測定を実施
- 平日日中の時間帯で、かつ授業で端末を利用していない時間帯(始業前や放課後等)に測定
- 可能な範囲で高スペックの端末を使用(性能が低い端末では実際より低い測定結果となる可能性がある)
- 域内の学校で同一の測定サイトを使用(教育委員会担当者が事前に複数サイトで試験することを推奨)
- 機器やシステムの設定による帯域制限がかからない環境で測定
なお、簡易帯域測定は無線APの下での測定となるため、通信が校内ネットワークを辿る過程で帯域が一定程度減衰した後の数値となります。このため、求められる帯域を満たしているか精緻に判断するためには、校内ネットワークの入口の帯域確認を行う必要があるでしょう。
また、測定結果の評価にあたっては、校内ネットワークの課題を別途確認することや、ユーザー体感調査による実態把握がより重要となります。必要に応じて、専門家による詳細な測定も検討していきましょう。
ポイント②:ユーザー体感調査で実態を正確に把握
ネットワークの課題把握と改善は、児童生徒や教職員の体感の改善を目的としています。そのため、実際の利用者の声を集める「ユーザー体感調査」が不可欠となります。
この調査では、以下のような質問項目を通じて具体的な課題を特定していきます。
「GIGA端末」の利活用状況
- 端末の使用頻度や用途を確認
- 課題が顕在化していない可能性をチェック
インターネット通信の遅延状況
- 通信サービスやネットワーク機器に起因する課題を把握
- 特定の曜日・時間帯での遅延発生有無を確認
- 「ベストエフォート回線」における他ユーザーの影響を検証
教室別の通信状況
- 特定の教室での通信遅延の有無を確認
- 「電波環境」や「無線AP」の設定に関する問題を特定
これらの調査結果からは、さまざまな具体的な課題が浮かび上がってきます。通信サービス契約の適切性、ネットワーク機器の設定状況や性能、機器の配置や配線の問題、端末の性能や運用方法の課題、さらにはソフトウェアサービス側の制約まで、幅広い観点での問題把握が可能となります。
教育委員会などでこれらの調査結果を丁寧に分析することで、各学校の実情に応じた適切な対処方法を検討することができるでしょう。
ポイント③:専門家による詳細診断で改善策を明確に
簡易帯域測定とユーザー体感調査の結果、以下のような状況が確認された場合は、専門家による詳細な診断が必要となります。
- 当面の推奨帯域を満たしていない
- 不具合が一定の頻度で発生している
- 既存の保守や運用の範囲内では対応が困難
専門家による詳細診断では、以下の項目について総合的な評価を実施します。
専門家による詳細診断の調査項目
調査項目 | 内容 |
---|---|
机上調査 | 完成図書をもとに物理的・論理的な不具合箇所を特定 |
スループット調査 | 実効帯域の測定によりボトルネックとなる区間を特定 |
レイテンシ調査 | 応答時間の測定により遅延発生箇所を把握 |
トラフィック調査 | 通信データ量と処理性能の関係を分析 |
セッション調査 | 同時接続数の状況を確認 |
CPU・メモリ調査 | ネットワーク機器の処理能力を評価 |
無線調査 | 電波強度、干渉、APの切り替わりなどを確認 |
専門家による調査結果からは、機器の設定変更による即時的な改善策や、ネットワーク構成の最適化案が導き出されます。また、将来を見据えた段階的な更新計画や効率的な予算配分など、中長期的な改善の方向性も明確になるでしょう。
調査の実施にあたっては、学校の実情に応じた効率的な進め方を検討することが重要となります。
「専門家による詳細診断」はctcのネットワークアセスメントをご利用ください!
ネットワークアセスメントの実施をご検討の際は、ctcのトータルサポートをご活用ください。以下のプロセスで、貴校の環境改善を確実に支援いたします。
ctcのネットワークアセスメントの流れ
実施項目 | 内容 |
---|---|
現状分析 | 専門スタッフによる綿密な調査で課題を可視化 |
改善提案 | 学校規模に応じた具体的なソリューションを提案 |
計画策定 | 段階的な改善計画の立案をサポート |
導入支援 | 補助金活用を含めた導入計画の提案 |
まずは専門スタッフによる環境診断で現状のボトルネックを特定。その結果に基づき、貴校の規模や実情に合わせた最適なソリューションをご提案します。さらに導入後も継続的なサポートで、安定したネットワーク環境の実現をサポートいたします。
なお、アセスメントの実施には調査項目や調査教室数に応じて費用が発生します。次項では、学校規模に応じたctcのネットワークソリューションについて詳しくご紹介します。
学校規模に応じた校内ネットワーク環境をctcがトータルでサポート

これまで解説してきたように、学校のネットワーク環境改善には、現状把握から具体的な改善策の実施まで、体系的なアプローチが求められます。とくに重要となるのが、「簡易帯域測定」や「ユーザー体感調査」の結果を踏まえた専門的な診断と、その結果に基づく包括的な改善策の立案です。
ctcでは、ネットワークアセスメントから具体的な改善の実施まで、一貫したサポート体制でお客さまの環境改善をお手伝いします。詳しいソリューションや料金プランについては、以下の特設サイトをご確認ください。
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直接接続型(9校以下)のメリットとctcソリューション

学校から直接インターネットに接続する「直接接続型」は、以下のような特長を持つお客さまに最適な構成です。
- 学校数が9校以下と少なく、各校の通信量にばらつきがある
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ctcの直接接続型向けソリューション
【NetDIVE】
- 最大1Gbpsのギャランティ型インターネット接続
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- アクセス回線からインターネット接続まで一元的に提供
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【ビジネスコミュファ光】
- 最大10Gbpsの高速インターネット環境を実現
- プロバイダ一体型で分かりやすい契約形態
- 独自回線・独自設備による安定した通信品質
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【ctcモバイル】
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- 法人向けの多彩な料金プラン
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集約接続型(10校以上)のメリットとctcソリューション

複数の学校のネットワークを集約拠点に集め、そこを経由してインターネットに接続する「集約接続型」。以下のような特長を持つお客さまに最適な構成です。
- 学校数が10校以上あり、セキュリティ対策を一元管理したい
- 回線帯域幅を最適化し、コストパフォーマンスを重視したい
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ctcの集約接続型向けソリューション
【NetDIVE】
- 最大1Gbpsのギャランティ型インターネット接続
- 独自の光ファイバーネットワークによる高品質な通信
- アクセス回線からインターネット接続まで一元的に提供
- 品質面・保守面で安心の運用体制
【ビジネスコミュファ光】
- 最大10Gbpsの高速インターネット環境を実現
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【NetLINK DC10G】
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- 幅広いエリアと安定した通話品質を実現
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【Starlink Business】
- 低軌道衛星による高速・低遅延のインターネット接続
- BCP対策や災害時のバックアップ回線として活用可能
包括的なセキュリティ対策の重要性
1人1台端末環境では、セキュリティ対策も包括的に実施する必要があります。ctcでは、以下のような多層的な対策で、安全な学習環境を実現します。
▼ セキュリティソリューション ▼
ネットワークの出入口対策
【マネージドセキュアゲートウェイ】
- インターネット通信を保護するゲートウェイを一元提供
- 用途やトラフィック規模に応じた最適な機器を選択可能
【マネージドUTM】
- 複数のセキュリティ機能を1つのハードウェアに統合
- ネットワークの出入口で不正侵入やウイルスを検知・ブロック
- エンドポイント対策と組み合わせて多層的な防御を実現
エンドポイント対策
【EDR】
- エンドポイントのセキュリティを強化
- ウイルス対策ソフトをすり抜けた脅威を検知し、迅速な対応を支援
【マネージドAIアンチウイルス】
- AI技術を活用した次世代型アンチウイルス
- 未知のマルウェアも高精度で検知
デバイス管理
【マネージドMDM】
- タブレットやスマートフォンの一元管理を実現
- 紛失時の情報漏えい防止や不正利用防止機能を提供
ユーザー認証
【ctcセキュアID】
- ID管理、シングルサインオン、アクセス制御をクラウドで提供
- ID、パスワードの管理負荷と情報漏えいリスクを軽減
サービスオペレーションセンター
【マネージドセキュリティオペレーションサポート】
- セキュリティインシデント発生時の駆けつけ対応
- 平時からの組織整備支援で備えを強化
これらのソリューションを組み合わせることで、端末管理から不正アクセス対策、インシデント対応まで、包括的なセキュリティ環境を構築します。さらに導入時の設定から運用まで、一貫したサポート体制で安全な教育ICT環境の維持をお手伝いします。
まずは診断から!GIGAスクール構想の通信環境改善をサポート

学校のネットワーク環境改善は、ネットワークアセスメントによる現状の可視化から始まります。その結果をもとに、学校規模に応じた最適な接続方式を選択し、段階的な改善計画を策定。さらに包括的なセキュリティ対策まで実施することで、安全で快適な通信環境を実現します。
ctcでは、経験豊富な技術者による詳細な現状分析から、具体的な改善効果を含めた提案、補助金活用を含めた導入計画の策定までトータルでサポート。導入後も継続的なサポートを提供し、安定した環境維持をお手伝いします。
推奨帯域を大きく下回っている、特定の場所や時間帯で通信が不安定、今後の利用拡大への対応を検討している、セキュリティ面での不安があるなど、ネットワークに関する課題をお持ちの学校は、ぜひctcにご相談ください。専門スタッフが実情に合わせた具体的な改善プランをご提案いたします。