義務化された送迎バスの「安全装置」とは?政府ガイドラインを分かりやすく解説

政府がとりまとめた「こどものバス送迎・安全徹底プラン~バス送迎に当たっての安全管理の徹底に関する緊急対策~」の中で義務付けが明記された送迎用バスの「安全装置」。その導入にあたって指針となるのが、2022年12月に国土交通省において策定された「送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置のガイドライン」です。
このガイドラインの中で重要視されている、安全装置に関するポイントは下記の通りです。
<ガイドラインにおいて規定された安全装置の主な要件>
1.運転者等が車内の確認を怠った場合には、速やかに車内への警報を行うとともに、15分以内に車外への警報を発すること ※自動検知式においては15分以内にセンサーの作動を開始
2.こども等がいたずらできない位置に警報を停止する装置を設置すること
3.十分な耐久性を有すること 例)−30~65°Cへの耐温性、耐震性、防水・防塵性等
4.装置が故障・電源喪失した場合には、運転者等に対してアラーム等で故障を通知すること ※電源プラグを容易に外せない装置に限り、回路を二重系にして故障の確率を低くした場合には、当該故障の通知要件を緩和する
設置する安全装置については上記等の要件を満たした上で、「降車時確認式」「自動検知式」のどちらか、もしくは両方の機能を組み合わせた装置「併用式」が対象となります。
降車時確認式の装置

「降車時確認式の装置」とは、子ども等の乗員が降車する際、運転者等が車内を確認した上で、警報を終了させるあるいは警報が鳴らないようにするための押しボタン等を車両後部に備えた装置です。
エンジン停止後に発する車内の確認を促す警報に対して、運転者等が車内を確認した後、車両後部のボタンを押すと警報が停止します。また、確認が一定時間行われない場合には、車外向けに警報を発する仕組みです。
自動検知式の装置

「自動検知式の装置」とは、カメラ等のセンサーにより、車内に置き去りにされた子ども等の乗員を検知する機能を備えた装置を指します。
エンジン停止から一定時間経過後に、車内に置き去りにされた乗員をセンサーが検知した場合には、車外へ向けて警報を発して置き去りを通知する仕組みです。
いずれの装置についても、あくまでもヒューマンエラーを補完する役割を果たすために必要な装置という位置づけを意識することが重要です。車内の確認を行うことなくボタンを押して警報を停止してしまうような運転者等や、子ども等の乗員が座席の下に潜り込んでしまうなどセンサーでの検知が困難なケースに対しては、十分な効力を発揮できません。
あくまでも、送迎用バスの運行のためのマニュアル運用等、ソフト面による対策と一体で取り組むことが不可欠なのです。
安全装置の補助基準をクリアするには?注目ポイントは「安全装置のリスト」と「義務付け施設」

安全装置の設置義務化に伴い、政府は事業者の負担軽減のため、補助金の実施を発表。補助金の対象となるのはガイドラインで示された「降車時確認式」「自動検知式」のいずれか、もしくは両方の機能を組み合わせた装置「併用式」です。加えて、「送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置のリスト」に掲載された装置であるということも条件となります。
また、補助金の受給基準額を確認する際には、設置に関して「義務付けられている施設」か「義務付けられていない施設」かによって支給額に違いがあるので、注意が必要です。
補助金交付対象の製品はこども家庭庁のリストを参考にセレクト

補助金交付に際しては、「送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置のガイドライン」に適合する装置であることが必須条件となります。適合が確認された対象製品のリストは、こども家庭庁のHPに掲載されているので、補助金交付対象の製品を選ぶ際にはこのリスト内からセレクトしましょう。
>>送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置のリストについて
安全装置の設置が「義務付けられている施設」と「義務付けられていない施設」
安全装置の設置補助に関しては、設置を義務付けられている施設への補助と、義務付けられていない施設に対する設置費用の一部補助の2種類に分かれます。義務付けの対象施設か否かによって、支給額に違いがあるので事前にチェックしましょう。
◆置き去り防止安全装置の設置が義務付けられている施設
1台あたりの補助金額上限 175,000円
<義務付けられている施設>
・幼稚園
・幼保連携型認定こども園
・地方裁量型認定こども園
・保育所等
・認可外保育施設
・障害児通所支援等
・特別支援学校
◆置き去り防止安全装置の設置が義務付けられていない施設
1台あたりの補助金額上限 88,000円
<義務付けられていない施設>
・小学校以上の学校
・放課後児童クラブ
・保育所以外の児童福祉施設(助産施設、児童遊園、児童家庭センターを除く)
・居宅訪問型保育事業
ctcで取り扱う2種類の製品を紹介!補助金内なら降車時確認式、機能重視なら併用式

ここでは、補助金の対象となる安全装置のリスト内から、ctcが取り扱うおすすめ製品についてご紹介します。
降車時確認式は「SOS-0006/株式会社TCI」

本体価格:88,000円/取り付け価格の目安:55,000円~ ※離島・遠隔地は変動有り
降車時確認式の車内確認ブザー。エンジンをオフにすると車内後方への移動を促すアナウンスが流れ、5分以内に車内後方の下車確認ボタンを押さないと、警告音を発します。
万が一、子ども等が車内に取り残されてしまったケースを想定し、子ども等の乗員の力でも簡単に押せる大音量アラームの非常用ボタンが付いています。
補助金内での設置が可能で、保証期間が3年と長いのもメリットです。サイレン音ではなく人の声での誘導音声になるため、子ども等の乗員たちの混乱を抑えるという点も支持されています。
併用式は「ホーネット(BS-700S)/加藤電機株式会社」

本体価格:98,780円/取り付け価格の目安:44,000円~66,000円
置き去りによる危険性を極力抑えるために、降車時確認式と自動検知式の2つの機能を兼ね備えた高度な安全装置です。
また同シリーズとして、自動検知式のセンサーによる車外アラーム発報時にスマートフォンやパソコンへの自動通知ができる通信機能付きのタイプや、AIカメラ機能搭載でメールやアプリに自動通知できるタイプなど、多彩なモデルをラインナップ。さまざまなオプションによる拡張性も優位性の一つです。
送迎用バス安全装置の設置を機に、今こそ進めたい保育現場のICT化

「安全装置の義務付け」に関しては、1年間の経過措置が設けられているものの、義務化が必須となる期限が近づくと装置への需要が高まり、設置業者への依頼が集中するなど時間を要する可能性も。早めの検討、購入がおすすめです。
また、義務化対象外の施設についても、補助金の支給を受けられる今こそ、子どもたちの安全のために盤石な体制を整える好機といえます。
地元企業であるctcなら、設置に関する導入段階のお問い合わせに対してスピーディーにお応えできるのはもちろん、使用開始後の疑問・質問、不具合などにも臨機応変に対応させていただきます。
また、バス送迎に当たっての安全管理の徹底に関する緊急対策では、安全装置の設置義務化以外にも、登園管理システムの導入支援や子どもの見守りタグ(GPS)の導入支援、安全管理マニュアルの動画配信や研修の実施等「こどもの安心・安全対策支援パッケージ」を明記。ヒューマンエラーを防ぐためのICT化が推奨されています。
DX化に強みを発揮するctcなら、送迎用バスの安全装置導入をはじめ、登園管理システムの提供や、システム利用に伴う回線提供・アクセスポイント/LAN配線整備(Wi-Fi)、セルラーモデルのタブレット提供など、ICT化をトータルでサポートさせていたくことが可能に。
子どもたちを守るため、さらには職員・スタッフの業務負担を軽減し、よりきめ細やかな保育を実現するためのシステム構築に関して、地域の相談窓口としてワンストップで対応OK。ぜひ一度、ご相談いただけますと幸いです。
送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置の仕様に関するガイドラインを検討するワーキンググループ/送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置のガイドライン
国土交通省/送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置のガイドラインについて
内閣官房・内閣府・文部科学省・厚生労働省・国土交通省・警察庁/こどものバス送迎・安全徹底プラン~バス送迎に当たっての安全管理の徹底に関する緊急対策~
こども家庭庁/送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置のリストについて
厚生労働省子ども家庭局総務課少子化総合対策室/緊急点検・実地調査の取りまとめ、安全装置の補助基準額等及び安全装置のリストの公表について
厚生労働省子ども家庭局総務課少子化総合対策室/バス送迎に当たっての安全管理の徹底に関する緊急対策「こどものバス送迎・安全徹底プラン」について